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mikkiews

WEBマーケティング/IT関連を中心に

「マーケティング/広告の未来はこう変わる」フリークアウトのSummer Job 説明会レポート

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先日、フリークアウトさんのSummer Job説明会があったので参加してきました。

振り返ると、説明会という形式でしたが、内容はいわゆる「就活ライクな形式的な話」ではなく、広告/マーケティング市場・時代の変化が語られたセッションだったと感じます。

その中の一つ、COO佐藤さんによるセッションが、マーケティング/広告に興味のある大学生にとって特に注目のお話。

Software Is Eating The World

タイトルは、ネットスケープコミュニケーションズのMarc Andreessenのレポート*1から。

概要としては、「あらゆる市場/仕事をソフトが食う」という『機械との競争』的な内容を、広告/マーケティング市場に落とし込み、その中でフリークアウトさんはどういうビジネスをしているかという話でした。

機械との競争

機械との競争

マーケティング市場の勝つルールの変化

広告会社といって思い浮かぶのは、電通や、Omnicomや、WPP
しかしながら、今や世界最大の広告会社となったのは、10年前に広告市場に参入したGoogleだとお話しされていました。

実際に、各会社の2013年度の広告売上高/純利益を調べてみると下記のようになります。

会社名 売上高 純利益
Google*2 50,578*3 2,854*4
Omn+Pub*5 23,623 2,430
WPP*6 14,313 1,410
電通*7 6,562 386

($ in millions)

グラフにするとこんな感じ。
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電通も日本国内No.1、世界でも5本の指に入る広告会社(代理店)ですが、それでも売上高がGoogleの8分の1と、数字で見ると意外と衝撃的。

5社総合で日本円にして9.5兆円もの広告費が投じられているようですが、値が大きすぎてもはや想像できません。


その他にも、広告・マーケティング市場へ参入したExperian MSやIBM, Adobe, Cheil WorldwideなどのIT企業が高い成長率を誇るなど、市場の地殻変動が語られました。


この話の中で強調されたのが、「マーケティング市場での勝つルールが変わった」という言葉。

これまでは、どれだけの媒体の広告枠をどのくらい持っているかというスケールが重要だった広告業界ですが、テクノロジーが今、そしてこれからのマーケティング市場を作っていくと佐藤さんは話していました。
*8

そうした状況下では、自ら切り拓いていける面白さがある反面、マーケティング・広告でこれまで勝ってきた人たちの勝ち方では、もう勝ち抜くことができないとお話されていました。

I AM NOT AVERAGE

また、スケールからテクノロジーへのシフトが起きた背景の一つとして挙げていたのが、従来のペルソナマーケティング。

これまでメディアを通して広告を宣伝する際に、マーケターはメディアの平均的なユーザー像からペルソナ*9を作り上げ、そのペルソナに対しての広告を打つために、広告枠を買うのが従来のやり方でした。

しかしながら、ペルソナで表した統計的な平均値はあくまで結果でしかありませんし、ユーザーが必ずしもそのペルソナに沿った人物像であるとは限りません。

そうしたペルソナマーケティングから、よりパーソナライズされたマーケティングを可能にしたのがDSP/SSP/RTBをはじめとしたアドテクノロジー。

(アドテク用語は、先日バズっていた広告業界と無関係な僕がさっぱり理解できないアドテク用語を調べた。 | 三度の飯とエレクトロンが勉強になりました。)

ザ・アドテクノロジー データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念まで

ザ・アドテクノロジー データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念まで

DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門 ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命 (Next Publishing)

DSP/RTBオーディエンスターゲティング入門 ビッグデータ時代に実現する「枠」から「人」への広告革命 (Next Publishing)

特定ユーザーのサイト上に表示させる広告枠を買うかどうか、ユーザーデータなどを基にDSP側が選択し、取る場合は更に複数のデータを利用してユーザーに適切な広告を絞り込み、DSPを利用する広告主に対してオークション形式で広告枠を提供・価格決定後、即座に表示させます。

こうしたDSP/RTB方式の広告表示は、フリークアウトさんが開発・提供しているマーケティングソリューションの1つだとお話しされていました。*10


この一連のやりとりがわずか0.05秒で行われ、秒間で20万回以上、広告表示が行われていると言っていました。

当然ですが、こんな高速なやり取りを人間が行うのは不可能なため、これらのやりとりは全てプログラムによるもの。

こうした高度なテクノロジーにより、消費者によりパーソナライズされた広告が配信されています。

Personalizedの不気味の谷

一方で、こうしたパーソナライズされた広告は、不気味の谷現象*11のような感情を消費者に引き起こす*12可能性もあります。

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(不気味の谷現象 - Wikipediaより)

そうした状況を起こさないために、システムによりユーザーの行動分析を多角的に行い、チャネルコントロールを図るシステムもフリークアウトさんでは開発・提供しているそう。

DSP経由のパブリックなメディアだけではなく、ソーシャル・メール・テレマーケティングなどの行動・効果分析も行い、より効果的な広告配信を行っていると仰っていました。

人に人らしい仕事を

常に新しいことに創り続けないと、RoutineはどんどんEngineerによって自動化される未来。
テクノロジーは、どんどん人の作業効率を上げ、仕事を奪っていくだろうとお話しされていました。

そして、こうしたEngineeとBusiness Sideとの追いかけっこが、人間のみにしかできないクリエイティブな仕事に人間が集中できるようにしていく未来を目指して、フリークアウトさんでは「人に人らしい仕事を」というミッションを掲げているそうです。

この話は、佐藤さんのstory.jpにも掲載されていたので、そちらも参考に。
フリークアウトのミッション「人に人らしい仕事を」 / 佐藤 裕介 | STORYS.JP

まとめ

このセッションの内容そのものの新しさというより、なんとなくマーケティング/広告が好きだなとか、そういう仕事をしたいなという大学の友人が圧倒的に多かったので、今回参考になればとレポートとして残しました。

(少なくとも私の周りの)特に経済学部系で勉強している大学生で、テクノロジーとかWEBマーケ/広告領域への興味を持っている人が少なく、大手(特にto C)で商品企画やマーケティング業務に関わりたいという人が多いように感じます。


しかし、佐藤さんが指摘されたとおり、これだけ外部環境の変化の激しい中で、いままでと同じやり方で働いて、同じように稼いでいくことは難しい。

特にマーケティングでは、O2O、オムニチャネル、ビッグデータといったバズワードが(今さらかと思いますが)経済誌を賑わせています。

この裏に、デジタルデータを処理・運用するための技術を提供するIT業界の台頭があるのは、(本当に今更ですが)明らかです。


IT万歳と、ただひたすら賛成するわけではありません*13が、テクノロジーの可能性とその面白さにももっと目を向けて行きたいと感じたイベントでした。

*1:Marc Andreessen on Why Software Is Eating the World - WSJ.com

*2:https://investor.google.com/earnings/2013/Q4_google_earnings.html

*3:広告売上高のみであり、総売上高ではない。

*4:純利益*広告売上高/総売上高

*5:OmnicomとPubicisが合併した(2014/5/12に解消。http://markezine.jp/article/detail/19941 )ため連結。$=1.3€(2013/3)で換算。 http://filesomnicomgroup.omnicomlink.com/ReportManagement/UploadedFiles/130416323760263892.pdf , http://www.publicisgroupe.com/en/media/display/id/7239

*6:http://www.wpp.com/wpp/investor/financials/announcements/financialresults/2014/~/media/pressreleases/assets/wpp_preliminary_results_feb14.pdf

*7:http://www.dentsu.com/ir/data/annual/2013/bd/index.html

*8:背景は話されませんでしたが、 1.テクノロジーにより最適化された広告効果への費用を払う方が広告主の費用対効果を最大化できる点、 2.消費者が閲覧する情報メディアがアナログ➡︎デジタルへシフトしている点、 3.(ウェブ上の)ユーザーの広告へのリテラシー向上によるCVR/CTRの低下している点 の三点から、テクノロジーが優位に立っていっていると考えます。

情報メディア白書 2014

情報メディア白書 2014

*9:ペルソナとは ― マーケティング用語集:ネットマーケティングとコミュニケーションの最前線を探る実践Webマガジン MarkeZine(マーケジン)

*10:誤った記述・事実と異なる記述でしたら、大変申し訳ございません。こちらの勉強不足です。大変恐縮ですが、たけのぶ (masuo_kettle) on Twitterまでご連絡いただけましたら幸いです。

*11:1970年にロボット工学者・森政弘氏により仮説として提唱された概念。人間がロボットに対して、人間らしくつくられるようになるにつれ好意を抱くが、ある時点を超えると強い嫌悪感を抱くというもの。2011年にカルフォルニア大学の研究チームにより立証。 Exploring the uncanny valley of how brains react to humanoids (Wired UK)

*12:「自分の興味のある広告ばかり出てくるのは嬉しいけれど、公共の(だと感じてる)WEBメディア上の広告で自分の個人情報が可視化された広告が出ると怖い」と感じること。具体的には、検索エンジン上で「先月の通話料金8,500円を更に安くできるプランをご用意しました」といった契約主と自分にしかわからないような個人情報が書かれた広告が出る例。なんとなく見た公共メディアにそうした個人情報があるのは、情報が流出しているのではという恐れを産む可能性があるそうです。

*13:個人的には、電力・鉱物など資源開発が地球規模での資源の限界に追いつかない可能性が高い点で反対。ただ、テクノロジーの発達による人間の可処分時間の増大が、様々な問題解決への時間を利用できるようになると理想だと思います。個人主義/国家概念の縮小が起こる中で、そうした目標に対する人類の組織化が起こりうるかが課題ですが。